第11話 ポジショニング

 久しぶりにコーチの日高が高等部のテニスコートに姿を見せた。
 中高両方のテニス部の指導を請け負う彼は、この一週間、地区大会を間近に控えた中等部の最終調整を優先し、高等部の活動に関しては部長の唐沢にその采配を委ねていた。
 つまりは丸投げ、もしくは放置とも言うが、自由な校風が色濃く反映されている光陵テニス部では、別段、騒ぎ立てる者もいなかった。
 従って、彼は透がレギュラーでありながら出入り禁止になっていることも、それがもとで部長と部員の間で亀裂が生じていることも知らずにやって来たのだが、コートの中に足を踏み入れた途端、不穏な空気を感じたらしく、手招きで副部長の千葉を呼び寄せた。
 「おい、ケンタ。俺の留守中に何かあったのか?」
 「はい、実は……」と、千葉が事の次第を説明しようとした矢先、意外な人物の名前が挙げられた。
 「唐沢に?」
 「えっ!?」
 崩壊寸前のテニス部の現状を語る気満々でいた千葉は、思わず耳を疑った。日高には目の前のふて腐れた態度でボールを打ち合う部員達の姿が見えていないのか。
 「いや、部長はいつも通りッスよ。てか、部長だけがいつも通りなんッスよ!」
 千葉はあえて「だけが」のところを強調してみせた。
 テニス部をこの危機的状況に追い込んだのは唐沢だ。彼がダブルスでは部内最強とされる伊東兄弟と練習試合を組ませ、敗北した透に「出て行け」と非情な命を下したのだ。
 以来、唐沢は ―― 唐沢だけが、何事もなかったかのように平然と過ごしている。
 いくら千葉が透の復帰を願い出ようが頑として聞き入れず、これにより他の部員達はますます不満を募らせているのである。
 「試合に負けたからと言って、あの仕打ちはひど過ぎる」
 「部長の横暴だ」
 「明らかにイジメではないのか」
 千葉のもとに届けられる苦情は日を追うごとに増えていき、今や副部長は不満を抱えた部員達のサンドバッグと化している。
 コートの中に充満するこの不穏な空気も、譲歩も温情も一切見せない唐沢の頑なな態度に原因があるというのに、日高はその唐沢の様子が変だと言う。
 「コーチ、ちゃんと空気読んでくださいよ。大人なんだから」
 中等部にかかりきりで放っておかれた恨みとクレーム処理の鬱憤もあって、千葉の口調は非難めいたものになっていた。
 しかし、これを受けた日高はコート内をざっと見回した後で、さらに信じられない台詞を漏らした。
 「お前の言う通り、大人目線で見てみてが、さっぱり分からん。他に何か問題があるのか?」
 「どうしてですか!? コーチにはこのドス黒い空気が見えないんスか?」
 「ドス黒い空気?」
 「何かこう、不満を言いたくて仕方のないモヤモヤが部員達から見えるでしょ? もうすぐ爆発寸前の?」
 性格的に大仰な表現を好まぬ千葉だが、この時ばかりは鈍感なコーチに事態を把握してもらおうと、わざと両腕を大きく広げて六面のコートを示した。部員達の不満が嵐となって目の前に迫り来る様子を髣髴とさせる、迫真の演技である。
 「あのな、ケンタ? 文句を言う奴は何にでも文句をつけるし、そうじゃねえ奴は、問題があろうが無かろうが、まともに練習出来りゃあ文句は言わねえ。
 俺には、いつもと同じ空気に見えるがな」
 「そこまでワイドにくくれば、同じでしょうけど……」
 大げさに開いてみせた両腕が、神経のみならず肝まで太いコーチの一言で萎んでいく。
 「現にあいつ等はいつも通りだ。シンゴ、滝澤、荒木、中西、ハルキ。誰も問題を抱えているようには見えねえぞ」
 「あの辺は何があってもマイペースっつうか、我関せずっつうか……」
 「それより問題は、唐沢だ。珍しく迷いがあるな。
 ケンタ、一緒にいて気づかなかったのか?」
 「いいえ、特には……」
 「ありゃ、相当モヤモヤしてんぞ」
 「何だかんだ言って、部長も後悔しているのかもしれませんね」
 「ああ、あいつ不自由なさそうな面してんのに、性格に難があるからなぁ」
 「えっ? 不自由ないって、何の話……?」
 「何って、思春期のモヤモヤと言えばナニの話だろ?」
 「コーチ! 一発殴って良いですか?」
 「まあ、そうカリカリするな。大人目線で見ろと言ったのは、お前だろ?」
 日高から“してやったり”の笑みを向けられ、千葉は困惑した。
 日高がこのタイミングで顔を見せたと言うことは、高等部でのいざこざを察知して、そろそろ自分の出番と踏んでやって来たのかと思ったが、彼にそんな深い考えはないようだ。それどころか、いざこざなど無きがごとき振る舞いだ。
 やる気があるのか、ないのか。まったく冗談と本気の境目の見えないオヤジである。
 だが事態を収拾するには、彼の指導者としての手腕にすがるしかない。さて、どうやってものぐさコーチの重い腰を動かすか。
 千葉が策を講じるべく真剣に頭を悩ませていると、いつものふてぶてしい顔に戻った日高が、世間話でもするような軽い口調で呟いた。
 「唐沢は普段から極端なまでに無駄を嫌う。何をするにしても、いかに効率よくこなすかを考えた上で行動を決めている。
 滝澤から送られてくる膨大な量の情報を処理する為に自然と身についた習慣だが、その唐沢にしてはさっきから無駄な動きが多いんだよな。
 副部長、どう思う?」

 唐沢は何も変わらない。千葉はそう思い込んでいた。
 もともと表情も豊かな方ではないし、淡々と練習に打ち込む姿を見る限り、特に変化はなかった。だがそれは本人が意図的に見せているのであって、一つだけ、いつもと明らかに違う動きがあった。
 視線である。
 長い前髪に隠れて気付かなかったが、確かに彼は用もないのにコートの入り口をチラチラと見やっている。
 ラリーが中断してから次のラリーに移るまで。マネージャーに話しかけられてから本題に入るまで。そういったほんの数秒の短い時間を使って、彼の視線は探している。なかなか戻らぬ後輩の姿を。
 あれが唐沢の本心だ。
 「すみません、コーチ。俺、副部長失格ですね。
 本当は部長のことを誰よりも理解していなきゃいけない立場なのに、何も分かっていませんでした」
 この中で、最も透の身を案じているのは唐沢だ。コートから出て行くよう命じたのも、透の為を思ってのことである。たとえテニス部全員を敵に回そうとも、そうする必要があったのだ。
 「気にするな。唐沢の心の内を読むなんて芸当は、お前等の歳で出来る奴のほうが珍しい。あの成田ですら百パーセントとはいかなかった」
 「そうだったんですか? 俺には、お互いつうかあの仲に見えましたけど?」
 「唐沢は本心を人に見せるのが苦手でな。まあ、これだけ長くなれば性格と呼んでも良いかもしれんが、あえて拒んでいる節がある。
 だから、その点では成田も手を焼いていた。副部長の扱いが一番気を遣うと言って」
 「俺、全然知りませんでした」
 「だろうな。成田がぼやくのは、俺と二人でいる時だけだ。
 あいつなりに部員達の目を気にしていたんだろう。他の連中がいそうな場所では一切弱音は吐かなかった」
 「あの成田先輩がぼやく姿がまず想像つきませんね」
 「歴代の部長の中には、部員と苦労を共にすることで上手くチームをまとめる奴もいたが、成田や唐沢は独りで苦労を背負い込むタイプだ。滅多なことでは本音は吐かねえ。特に弱音はな。
 ケンタ? そんな奴をサポートするのは難儀だろうが、信じてやってくれ。唐沢の信じるものを一緒になって信じてやることが、一番の支えになるはずだ」
 「正直あんまり自信ないですけど、一応出来るだけの事はやってみます」
 千葉が心もとない返事をした直後、唐沢の動きがふと止まり、前髪から覗く視線が一箇所に向けられた。
 部活動の最中はボールが外へ出ないよう施錠されているはずの金網フェンスの扉が開き、野球部の掛け声よりも良く通る声が六面のコートに高らかに響いた。
 「唐沢先輩! 宿題の答えが分かりました! 中に入って良いッスか?」
 そこには、この一週間、待ちわびた後輩の姿があった。
 「答えを聞かせてもらおうか?」
 コートの入り口で首を伸ばして立っている透の姿を捉えた視線が、ほんの一瞬、柔らかくなったような気がしたが、正解を聞くまでは自重しているのか。すぐに厳しい部長の顔に戻っている。
 千葉は変化の乏しい表情を目で追い続けた。
 「えと……聞かせるって言うより、見てもらった方が早いです。出来れば、前と同じ条件で試合をやらせてもらえませんか?」
 透の口から飛び出す勇ましい台詞に、口元が緩みそうになるのを堪えて、また締め直す。唐沢の本心を知った今ならよく分かる。あの考える振りをして俯く仕草は、心の内を悟られないようする為のカムフラージュに違いない。
 少し間を空けてから、唐沢が落ち着き払った声で問いかけた。
 「リベンジ、という訳か?」
 「はい。せっかく転んだのに、手ぶらで起き上がるのは勿体無いんで。ついでに最強ペアをぶっ倒してから起き上がろうかと思って!
 唐沢先輩、もう一度、俺とペアを組んでくれませんか? 今度は二人の力をちゃんと使って戦えると思います。
 お願いします。俺にダブルスをやらせてください!」
 「良いだろう、中に入れ」
 唐沢の指示のもと、再び伊東兄弟との試合が始まった。

 透の復帰をかけた試合を他の部員達と共に観戦しながら、千葉は今回の騒動の発端となった答えを日高に尋ねた。
 「結局、トオルが追い出された理由って何ッスか?」
 「ほう。トオルの奴、唐沢に追い出されていたのか?」
 「コーチ……本気で俺達のこと、放置してたんスね。
 せめて活動日誌の出欠ぐらいは目を通してくださいよ。毎日、机の上に届けていますよね?」
 「ああ、すまん。すまん。
 最近、ちぃとばかり老眼が進んでな。お前等の汚ねえ字を見る気がしねえんだ」
 「あいつ、ずっと出禁になっていたんですよ。伊東兄弟との試合に負けて。
 それで、その理由を考えて来いって。一週間も前の話ですけど?」
 テニス部内を揺るがす大事件だったにもかかわらず、一週間遅れで報告を受けた日高はさして驚きもせずに、「ふうん」の一言で済ませている。
 これを徒労というのか。この一週間の苦労を思えば、自分だけが割に合わない役割を押し付けられた気がしてならない。
 だがしかし、今は個人的な感情よりも答えの方が気になった。
 唐沢とは別の意味で ――たぶん年齢や、経験や、性格から来る図太さだと思うが―― 表情の変わらぬ日高に、千葉は今一度問いかけた。
 「コーチには分かっているんでしょ? トオルが追い出された理由が。
 黙っていないで教えてくださいよ。太一に聞いてもハッキリしねえし、そんなに難しい答えをトオルが見つけられたのか、心配なんッスよ」
 「そうだろうな。あの兄弟は、入部してからずっと同じコンビで仕込まれていたから、却って気付かねえかもしれねえな」
 「で、答えは?」
 「ポジショニングだ」
 「ポジショニング? それって、立ち位置のことですよね?」
 「基本はそうだが、ダブルスの場合はパートナーの動きも視野に入れて自分の位置決めをしなきゃなんねえから、端的に言えば『自陣の空間認識』ってところだな。
 伊東兄弟はプレースタイルが正反対であるが故に、それぞれ攻守の役割分担がハッキリしている。だから自然と互いが取るべきポジションが明確になる。
 しかし、唐沢とトオルはどちらもカウンターパンチャーだ。
 二人とも同じプレースタイルの場合、最も注意すべきは何だか分かるか?」
 ダブルスが苦手な千葉にも、その答えは分かる。
 「得意なプレーを封じられた時ですか?」
 「そうだ。あのペアの最大の弱点は、一人の攻撃が封じられれば、もう片方も同じダメージを受ける点だ。
 あまり考えたくはないが、万一、ドリルスピンショットが破られた場合……」
 「ドリルスピンショットが破られるなんて、そんな事があるんですか?」
 「絶対にないとは言い切れない。むしろ先へ進めば進むほど、その可能性は高くなる。
 もしもドリルスピンショットが何らかの形で使えなくなった場合、武器もねえ、陣型も崩れたじゃあ、反撃の糸口を見出せないまま共倒れになる」
 「部長はそのネックとなるポジショニングを、トオルに教えたかったんですね?」
 「ああ、ポジショニングさえしっかり守っていれば、ダメージを最小限に抑えて次の一手を打つことも可能になる。
 ただ残念なことに、中等部からじっくり育てた伊東兄弟と違って、トオルには時間がない。限られた時間でポジショニングを叩き込むには、解説書や口伝えではなく、身をもって体験させるしかないと判断したんだろう。
 楽して覚えたことはすぐに忘れるが、自分で苦労して得たものは、どんな苦況に陥ったとしても忘れることはない。仮にパニックを起こして思考停止になっても、体は覚えているからな」
 「だから部長はあんな冷たい態度を?」
 「さあな。唐沢がどんな態度を取ったか、俺は知らん。だが、少なくとも今はお前等全員、そうは思っていねえだろ?」

 やはり最強ペアを倒すのは至難の業と見えて、ゲームカウントは「3−3」と両者譲らず引き分けている。
 しかし実際に苦戦を強いられているのは、ペアを組んで間もない唐沢・真嶋ペアではなく、伊東兄弟の方だった。
 一週間前は熟練ペアに振り回されていた透が、まるで別人のような動きを見せている。状況に応じて然るべき場所に陣取り、隙のないプレーで相手を圧している。
 二人にとって最も有利に働く陣型を考えながら位置決めをしているせいだろう。
 透がポジショニングを意識することにより、唐沢のプレーが格段に良くなったのは、千葉の目から見ても明らかだ。
 「あの二人、昔からコンビ組んでいるみたいッスね?」
 「ああ、そうだな。
 テニスはポイントを奪われる一つ前のプレーに、その原因が潜んでいることが多い。特にダブルスの場合、相手の陣型の崩れた時が狙い目だ。
 逆に言えば、自分達が陣型を崩さずにいる限り、カウンターパンチャーであるアイツ等の攻撃パターンは無限に広がっていく。敵の攻撃が、自分達のチャンスボールになるからな」
 守るべき場所にパートナーがいてこそ、初めて攻撃を仕掛けることが出来る。また攻めるべき時に躊躇なく攻めてくれれば、もう片方は反撃に備えてガードに徹することが出来る。
 二人の力を倍から二乗に引き出すには、この互いが然るべき持ち場に必ずいるという信頼関係が必要不可欠だ。
 「トオルの奴、何か吹っ切れた感じですね」
 ポイントが決まるたびにガッツポーズで喜びを露にする後輩の姿を認め、千葉は彼が本来の自分をも取り戻したことを確信した。
 「まずは第一段階クリアだな。やれやれ、おかげでまた騒がしくなりそうだ」
 うんざりした口調で語っているが、滅多に相好を崩さぬ日高の頬にも、年輪を思わせる深い皺が一本、剃り残しの髭と共にくっきりと浮かんでいた。

 「くっそ〜! 出来立てホヤホヤコンビに、俺ッチが負けるなんて!」
 試合終了後、無念の声を漏らしたのは伊東兄弟の弟・陽一朗であった。
 しかし勝利したはずの透も理想としていた結果ではないのか、悔しげに唇を尖らせ陽一朗を睨みつけている。
 「俺だって納得いきませんよ。ラブゲームで下そうと思っていたのに、6−4なんて!」
 「ラブゲームだとぉ? 後輩のくせに、いや、その前に、『ウ吉』のくせに生意気だぞ!」
 「勝負事に先輩後輩は関係ないッスよ。それより、その『ウ吉』って呼び方、止めてくれませんか? やっと先輩達に忘れてもらえたのに!」
 「やだね! こうなったら『ウ吉』を復活させてやるもんね」
 「大人気ないッスよ! いくら負けたからって……」
 「あっ! お前いま、思いっきり俺達のこと、馬鹿にしただろ? なあ、太一? どう思う?」
 「いい加減しにしないか、お前たち。まだ練習中だぞ」
 コートの中にいつもの騒がしさが戻ってきた。
 子供染みた喧嘩を繰り広げる透と陽一朗と、生真面目に仲裁に入る太一朗。その周りで黙々と練習を続けるレギュラー陣。
 いつも通りの光陵テニス部の練習風景だ。ただ一人を除いては。

 恐らく透が答えを見つけて戻るかどうかは、唐沢にとっても大きな賭けだったに違いない。少し離れたところで騒ぎを見つめる彼の表情が、今だけは違っていた。
 澄ましたように細めた切れ長の目元と、上向きに緩んだ口元と。賭けごとで勝利した時のお決まりの顔である。自分の予想が的中したことに誇らしさを感じながらも、喜びを抑えている時の。
 久しぶりにあの顔を見た、と千葉は思った。
 「部長、お疲れ様でした」
 「ケンタ、お前もな」
 「あの……今更なんですけど、俺、部長に付いていきますから。インターハイまで、ずっと」
 「ああ。頼りにしている」
 「えっ? 部長、今なんて?」
 「俺には暇な副部長が必要だ、と言ったんだ。何度も同じことを言わせるな」
 これも唐沢なりの日頃の労いを含めた褒め言葉に違いない。
 「お前が一番暇だから」と押し付けられた立場であったが、それは決して言葉通りの意味ではない。千葉のサポートが必要だからこその指名である。
 「ありがとうございます! 俺マジで部長に付いていきますから!」
 「だったら、あの騒ぎを何とかしろ。
 まず真嶋には『一週間分の遅れを取り戻させてやるから、さっさとコートへ入れ』と伝えてこい。
 それから負けた伊東兄弟には、特別メニューを用意してやらなきゃならんな。こんなことでは本戦が思いやられる。
 メニューは滝澤に組ませるとして、あとはこの一週間、お前のところへ文句をつけるだけつけて練習をサボっていた奴等の名前をリストアップしろ。伊東兄弟と合わせて、みっちりしごいてやる」
 「了解!」
 唐沢がいつもの厳しい部長に戻るまでに、一分とかからなかった。ぎりぎりの大きな賭けに勝利した後でも、その余韻に酔いしれるのは僅かな時間である。
 騒ぎを収めに行こうとして、千葉は途中で振り返った。
 「部長? 絶対にインハイ、行きましょうね!」
 「タ〜コ! 行くだけじゃない」
 「分かっていますよ。俺達の目標は優勝すること……ですよね?」
 千葉は自分でもそれと分かる程のしたり顔を見せてから、騒ぎの中心にいる後輩を捕まえに輪の中へと入っていった。
 鬼のように厳しい部長による精一杯の「お帰り」を届けるために。






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